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遺言書はなぜ普及しないのか(平成25年8月23日)

 遺言書はなぜ普及しないのでしょうか。

 

 日本公証人連合会の統計によると、公正証書遺言作成件数は、平成元年は約41,000件、平成10年は約55,000件、平成20年は約76,000件、平成23年は約79,000件となっています。平成元年からの23年で約2倍増えたことになります。また、平成23年に家庭裁判所が検認した遺言書の件数は、15,113件となっています。

 

 平成22・23年度の死亡届件数がそれぞれ約130万件弱ですので、作成時と死亡時は異なるので単純には比較できませんが、作成割合としてはまだまだ少ないように思います。

 

 作成しない理由として、以下の点があるのではないでしょうか。

 

1.うちは大丈夫、と思っている

 

 自分の子どもは仲がいいので、遺言書を作らなくても話し合い(遺産分割協議)で解決できる、と思っているケースです。確かに普段犬猿の仲でもない限り、そのように考えるのは理解できますが、実際は相続開始後(親がいなくなってから)配偶者なども巻き込んでもめるケースは多いように感じます。

 

2.うちは財産がないから、というケース

 

 国税庁の統計によると、平成23年度(平成23年1月1日~平成23年12月31日)に亡くなった人に対する相続税の課税割合は、4.1%です。平成23年度の死亡届数は130万人弱ですので、53,000人ほどの被相続人の数に対して相続税がかかっています。

 

 ただ、現在の相続税は基礎控除額が大きいので、相続税がかからない場合でもそれなりの財産がある場合も多いと思います。少なくとも自宅がある場合には、遺言書があったほうがよいように思います。

 

3.今作る必要性を感じない

 

 遺言書は作ったほうがいいと漠然と思っていても、じゃあ今日、あるいは今週末に作るかというと、なかなかそうはいかないと思います。遺言書を作るということは、財産の分配方法を決めるということです。誰にどれだけあげる、という重要な決定は、病気などで死期が迫っているといった事情でもない限り、できないのではないでしょうか。

 

 遺言書作成は単に財産の分け方を記載するのみならず、付言事項といって被相続人の気持ちを記すことも可能です。また、法律上の遺言でなくとも、遺書という形で自分の気持ちを残すことも可能です。

 

 少なくとも、相続の実務では遺言書さえあれば、こんな問題や揉め事は起きなかっただろう、というケースはよくあります。こちらの遺言書を書いたほうがいい場合に当てはまる方は、一度検討してみてはいかがでしょうか。

 

(司法書士 尾﨑政友)

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