1.弁護士による交渉
弁護士が、ご依頼者様の代理人として、債務者との間で、民事訴訟や強制執行などではなく、任意に、金銭の支払いを行うよう交渉し、債権を回収する方法です。
交渉による解決は、民事訴訟や強制執行などと異なり、必ずしも法的な義務や権利に拘束されない、柔軟な解決を図ることも可能です。
弁護士は、業務・仕事として、他人から依頼を受けて、代理人として金銭債権の回収を行うことができます。
このようなお金の回収業務は原則として弁護士だけが行えます。例外的に、債権額(請求する金銭の額)や債権の種類によっては、司法書士や債権回収業者(サービサー)もこのような取立て業務を行うことができますが、あらゆる種類・金額の債権について、代理人として、業務として、回収・取立てが行えるのは、弁護士だけです。
債権者自ら請求しても、債務者がお金を支払わないときは、専門化である弁護士にお金の取立て・回収をご依頼ください。
解決までの流れ
- 請求債権の検討・確定
ご依頼者様との打合せ、契約書や注文書・請求書などから、金銭債権の内容(発生日時、請求金額、支払日、ご依頼者様の主張など)や債務者に関する情報(送付先住所、資産状況、相手の反論など)等を把握します。お金・金銭債権を確実に回収するために重要な準備です。 - 弁護士による交渉
弁護士名義で、債務者に請求・督促・通知等を行い、交渉を開始します。書類の送付方法として、内容証明郵便を利用することがあります。
弁護士が、適宜の方法で債務者と連絡を取り、債務者の反論も法的に解釈し、交渉を進めます。 - 和解・示談・弁済など
交渉により、示談や和解が成立、債務者から金銭の支払いがあった場合、ご依頼は終了になります。示談や和解が成立した場合は、弁護士作成による示談書・合意書・和解書のほか、公正証書等を作成します。
2.民事訴訟・裁判手続き
弁護士による交渉が決裂した場合や、トラブルの性質などから交渉による解決が見込めない場合などは、民事訴訟などの裁判手続きにより、債務者の支払い義務を確定させます。
裁判所が証拠等に基づいて、支払義務を判断しますので、債務者の意思に反しても、債権回収を図ることができます。
民事裁判を提起する一方で、裁判上の手続きとして、裁判所で、裁判官の意見を聞きながら、和解交渉を進めることもできます。中立かつ最終的な判断権限を持つ裁判官の意見を聞きくことで、和解が成立する可能性も高まり、結果として、債務者から任意の支払い、債権回収を図ることもできます。
解決までの流れ
- 民事訴訟の提起
管轄の裁判所に、金銭の支払いを求める民事訴訟を提起します。金額が140万円を超える場合は地方裁判所、140万円以下の場合は簡易裁判所に提起します。 - 民事訴訟
弁護士が準備書面等作成し、ご依頼者様の主張・言い分を裁判所に伝え、立証活動を行うほか、被告・相手方の主張に対する反論・反証も行います。裁判期日には、代理人弁護士のみ出廷すれば足ります。 - 裁判上の和解又は判決の取得
債務者が支払いを認めて裁判上の和解が成立する場合があるほか、裁判所が当事者の主張と立証に基づいて判決を言い渡すことによって訴訟は終了します。
その他の裁判手続き
■支払督促
簡易裁判所を通して、債務者に支払いの督促状を送付する債権回収方法です。
債務者から、一定の期間内に異議申立がなされないと、債権者の請求が確定し、勝訴判決を得たのと同様の効果が得られます。
債務者が異議申立をした場合は、通常の民事訴訟に移行します。
■民事調停
裁判所に、調停を申し立ててする債権回収方法です。裁判所で、調停委員を交えて、債務者との話し合いにより、債権回収を図ります。
養育費や婚姻費用を請求する場合など、訴訟や審判などで裁判所の判断を求める前に、調停を申立てなければならないケースもあります。
■仮差押え(財産の保全)
弁護士による交渉や民事訴訟などの裁判手続きを取っている間に、債務者が、保有している重要な財産を浪費、売却、贈与するなど処分して財産がなくなってしまい(無資力)、お金の回収ができないということを防ぐための方法として、仮差押さえという裁判手続きがあります。
事件が解決するまでの間、債務者の重要な財産が消費・処分等されないよう、仮に、財産を差し押さえる(消費・処分等できないようにする)手続です。
仮差押えは、債務者に知られることなく進めることができるため、債権回収の方法としてはとても効果的です。
その代り、裁判所が定める保証金を供託する必要があります。請求額や仮差押えしたい財産の種類や金額によっては、保証金が高額になる場合があります。