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簡単・分かりやすい民法改正解説~シリーズ29 売買①:売買の改正概要・売主の義務~

今回は,簡単・分かりやすい民法改正解説シリーズの第29弾です。

民法が,私たちにとても身近なルールを決めている法律であることは,シリーズ“ゼロ”でお話ししたとおりです。

(⇒簡単・分かりやすい民法改正解説~シリーズ”ゼロ” 民法改正の意味~

 

今回から、第5回に分けて、私たちにとても身近な契約である「売買」についての改正内容を見ていきます。

売買について第1回の今回は、売買に関する民法の基本的な規定の仕方や改正の概要を見たうえで、新たに明記された売主の義務についてみていきます。

 

民法の規定について

民法は、「売買」という節を設けて、売買のルールを定めています。
ただし、売買契約に関係するルールのすべてがこの節に書いてあるわけではなく、重要なルールが契約総則や債権総則、さらには民法総則などの各箇所に散らばって規定されていることに注意が必要です。
これは民法が、パンデクテン方式といって、各カテゴリーに共通するルールがあれば総則として先に書き出して、各カテゴリーの中ではそのカテゴリーに特有のルールを規定するという編纂スタイルをとっているためです。
「売買」の節には、契約一般に共通のルールや債権一般に共通のルールを除いた、売買特有のルールが規定されています。

そして、「売買」の節には「売買総則」「売買の効力」「買戻し」の3つの款があります。
このうち大きな改正があったのは「売買の効力」です。
「売買の効力」に関する規定は、売主の義務、売主の担保責任と買主の義務という、大きく3つが規定されています。

 

売買の改正の概要

売買に関する改正は、「売買」の節の中の「売買の効力」の款について主に改正があり、さらに、その内の「売主の担保責任」について、大改正がありました。
主に改正のあった「売買の効力」について概要をまとめると、以下のとおりになります。

  • 〈売主の義務〉560条→改正案560条~561条

 売買契約の基本効果として、売主が負う義務の内容を明記しました。

  • 〈売主の担保責任〉561条~572条→改正案562条~572条

 大改正があり、ルールの順番や構造も大きく変更されました。

  • 〈買主の義務〉573条~578条→改正案573条~578条

 買主の代金支払義務についてのルール群ですが、大きな変更はありません。

 

売主の義務に関する改正

今回の民法改正では、これまでに規定がなかった売主の基本的な義務を明記するという改正が行われました。
具体的には、次のとおりです。

(1)契約の内容に適合した権利を移転する(物を引き渡す)義務

売買契約の売主の義務といえば、財産権を買主に移転することです。このことは従来も555条(売買契約の定義規定)により間接的に規定されていました。
では、どのような財産権を移転すればよいのでしょうか。実は一部が他人の物だったとか、品質が悪いものだったという場合でも、一応財産権は移転されたから売主の義務は果たされたといえるのでしょうか。
答えはノーで、売主は契約の内容に適合した権利を買主に移転しなければなりません。物についても、その種類・品質・数量が契約の内容に適合した物を買主に引き渡さなければなりません。

これらについて従来は規定がなかったばかりか、否定する考え方が支配的だった時代もありました。しかし、現代の取引実務に合わない考え方なので、今回の改正では「契約の内容に適合した権利を移転する(物を引き渡す)義務」があることをはっきりさせることにしたのです。
ただし、独立の条文でこれを表現することは避け、後述の担保責任に関する改正案562条や565条の前提として読み取れる形になっています(部会資料83-2)。

(2)対抗要件具備義務(改正案560条)

不動産の売買では不動産登記をしますが、この登記は物権変動を第三者に対抗するための対抗要件です(177条)。
この対抗要件を備えないと、たとえば二重譲渡により別の買主が現れた場合に、自分が売主だと主張して裁判で勝つことができません。
売主には、権利の移転に伴って、その権利移転について買主に対抗要件を具備させる義務があると解されていますが、従来規定がありませんでした。
そこで、改正案560条でこのことが明文化されました。

(3)他人物売買の特例(改正案561条)

他人の物を売る売買契約も有効です。その場合、売主はその他人から権利を取得して、これを買主に移転しなければなりません。
これについては従来も規定がありました(560条)。
改正案では、全部他人の権利だった場合のほか、一部が他人の権利だった場合にもその一部について同様に取得して移転する義務があることを明記しました。

 

終わりに

以上が、売買に関する現行民法の規定と、改正の概要、さらに明記されることとなった売主の基本的な義務についての説明・解説です。
次回、売買の第2回では、大改正されることとなった売主の担保責任について、改正の概要を見ていきます。

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