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簡単・分かりやすい民法改正解説~シリーズ12 保証②契約後の情報提供義務ほか~

今回は,簡単・分かりやすい民法改正解説シリーズの第12弾です。

 

今回は,前回の続き、大幅に改正されることとなった「保証」の第2回です。

(前回コラムはこちら:簡単・分かりやすい民法改正解説~シリーズ11 保証①改正の概要~

前回は、保証の基本、保証に関する過去の改正や今回の民法改正のポイントについてお話ししましたので、今回から、いよいよ改正内容の解説・説明をします。
前回のコラムで説明したとおり、保証は、大きく分けて、①保証人保護の強化、②規定の不合理な点の修正、③確立した解釈や判例を明文化するという、改正が行われます。

この3つの内、今回は①と②の一部と③について、条文の順に、詳しく見ていきます。

 

附従性と主債務加重の場合(改正案448条2項):確立した解釈の明文化

附従性とは、保証債務の三大性質(附従性、随伴性、補充性)のうちの一つで、簡単にいうと「主たる債務より重い内容にはならない」という性質です。
従来、「主債務より重くならない」という基本ルールについては現行民法448条が規定しており、その解釈として、契約後に主債務の内容が変更された場合には、「主債務が軽くなったときは保証債務も連動して軽くなり、主債務が重くなったときは連動しない」という理解が確立していました。
この前半部分は従来の規定から導かれますが、後半部分は規定がなく、あったほうがわかりやすいため、その点を2項として付け加えました。

 

 主債務者の抗弁権の援用(改正案457条2項、3項):確立した解釈の明文化

主債務者は、債権者に対し、契約の無効、取消、解除、弁済、相殺、同時履行などの理由で債務の履行を拒むことができる場合があり、これらの理由を抗弁といいます。
主債務者が抗弁を有しているのに、保証人が保証債務を履行させられるのは、附従性に反します。
そこで、主債務者が抗弁を有している場合、保証人は、その抗弁を援用し、保証債務を履行しなくてもよいというのが確立した解釈です。
ところが、現行民法は相殺についてのみ、保証人が援用できる旨の規定を置いているだけで(現行民法457条2項)、他の抗弁については、規定がありません。
そこで、これを改正案457条2項で明文化しました。
もっとも、保証人は主債務者の抗弁権をそのまま行使できるわけではありません。特に、主債務者の権利の消滅をもたらす相殺、取消、解除については、それらを行使してしまえるわけではなく、それを理由に保証債務の履行を拒絶できるにとどまるというのが通説の理解です。これを条文上明らかにしておいた方がよいと考えられ、改正案457条3項でこの点も明文化されました。

 

連帯保証人に関する規定の整理(改正案458条ほか):規定の不合理な点の修正

連帯保証人というのは、特約により補充性を排した保証人です。
補充性とは、「主債務が履行されない場合に初めて履行を求められる」という性質で、現行民法上、催告の抗弁(現行民法452条)と検索の抗弁(同453条)の存在がこの性質を現していますが、この二つを有しない、つまりいつ履行を請求されても文句を言えないのが連帯保証人です(同454条)。

連帯保証人には、連帯債務者間の絶対的効力と相対的効力に関する一連の規定(同434条〜440条)が準用されています(同458条)。一人について生じた事由が他の人にも影響するかどうかという問題で、従来、履行の請求、更改、相殺、免除、混同、消滅時効の完成が絶対的効力事由とされていました。
しかし、保証の場合は絶対的効力といっても上記の附従性がある以上、意味のあるのは連帯保証人に生じた事由が主債務者に影響する場面だけとなり、その中でも免除と消滅時効の完成は、連帯保証人に負担部分がないため結局影響しないという不合理がありました。
また、履行の請求の絶対的効力には一定の意味があったのですが、連帯保証人には主債務者が知らないうちになることもできることから、主債務者に不測の損害が生じるおそれがあると指摘されていました。
そこで、今回の改正では、絶対的効力は連帯保証人から主債務者への方向のみであることを明らかにしつつ、その事由を更改、相殺、混同に限定し、残りは相対的事由に変更しました(改正案458条、438条、439条1項、440条、441条)。

 

契約後の情報提供義務(改正案458条の2、458条の3):保証人の保護強化

従来、保証人には、契約締結後に主債務の履行状況について知る機会は制度上保障されておらず、ある日突然債権者からの請求で主債務の遅滞を知る、しかもその時にはすでに遅滞額も遅延損害金も相当に膨らんだ状態になっているといった事態が当たり前に見られました。
しかし、保証人としても、そこまで状況が悪化しないうちに助けてあげられていれば、お互いに破綻を免れることができたのに、と思うことが多いでしょう。そこで、今回、そのような道を開く改正が行われました。

(1) 履行状況に関する情報の提供義務(改正案458条の2)
委託を受けた保証人は、債権者に対し、契約後いつでも情報提供の請求をすることができます。債権者はこの請求を受けたら、主債務の元本、利息、違約金、損害賠償等の不履行があるかどうか、残額はいくらか等について情報提供しなければなりません。

(2) 期限の利益喪失に関する情報の提供義務(改正案458条の3)
分割払いの債務を遅滞すると期限の利益を喪失し、残額を一括で支払わなければならなくなるのが通常です。主債務がこうなった場合、債権者は2ヶ月以内に保証人に通知をしなければなりません。通知をしなかった場合には、保証人に対する遅延損害金の請求が制限されます。

終わりに

以上の中でも、特に重要で、実務上も大きな影響を与えると思われる改正点は、委託を受けた保証人(主債務者に頼まれて保証人になった人)に、契約締結後の主債務の履行状況について、債権者に対して情報提供請求することを認めている点です。

次回、第3回では、求償権に関する改正と根保証に関する改正について、詳しく説明・解説していきます。

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