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簡単・分かりやすい民法改正解説~シリーズ11 保証①改正の概要~

今回は,簡単・分かりやすい民法改正解説シリーズの第11弾です。

 

民法が,私たちにとても身近なルールを決めている法律であることは,シリーズ“ゼロ”でお話ししたとおりです。

 (⇒簡単・分かりやすい民法改正解説~シリーズ”ゼロ” 民法改正の意味~

 

今回のテーマは,重要な変更点である「保証」です。
保証は、民法改正全体の中でも重要なポイントに位置付けられています。

 

今回の改正では、保証が実際に果たしている社会的機能を阻害しないように留意し、合理性を高めつつ、保証人保護を大きく前進させる工夫が尽くされてます。
しかし、その反面、条文が細分化されて分かりにくさが増してしまっています。
確かに全部条文に書いてあるし、論理的に整理されてもいるのですが、保証人と主債務者の関係や根保証の関係でカテゴリー分けが駆使されており、文章で読んでいると煩雑になりがちです。
そこで、こうした点を表形式で整理しながら、4回に分けて、解説・説明していきます。

 

第1回目の今回は、改正のポイントについて説明・解説し、第2回から第4回で、条文の順に改正内容を詳しく説明・確認していきたいと思います。

 

保証契約とは

まずは、基本的な点の確認から行います。

保証契約とは、主たる債務者がその債務を履行しないときに、保証人がその履行の責任を負うという契約です。
主たる債務は金銭債務であることが多いですが、それに限られません。
保証契約は債権者と保証人との間の契約で、普通は主たる債務者から委託を受けるものですが、委託なしに勝手に保証人になっても有効です。

 

保証に関する過去の民法改正

保証といえば、古くから危険な契約類型として有名です。
知人や親類から「絶対に迷惑はかけないから」などと頼まれて断りきれず保証人になってしまった結果、多額の借金を肩代わりすることになり、経済的に破滅したり、最悪の場合自殺に至るというケースが後を絶ちません。

この問題に対する立法的手当として、平成16年の民法改正により、保証契約は書面でしなければならないこととされました(現行民法446条2項)。
また、個人が貸金等を根保証する場合にも、一連の規制が加わりました(同465条の2〜465条の5)。

 

今回の改正のポイント

前述のとおり、保証については、平成16年に改正が行われたことが記憶に新しいところです。
しかし、このときの改正内容ではまだまだ不十分ということで、さらに多く、細かく、今回改正が行われることになりました。

 

今回の改正では、平成16年改正の際も重要視されていた「保証人の保護」について、さらなる強化に大きな重点が置かれています。
具体的には、保証契約後の保証人への情報提供義務が定められたほか、根保証に関する規制の拡張、事業のための第三者個人保証の大幅な規制などがされています。

それらとともに、これまであった規定の中の不合理な点を修正する改正が行われました。
具体的には、連帯保証人や求償権に関する規定の整理が行われました。

また、いくつかの点で、確立した解釈や判例の明文化も行われています。
具体的には、附従性と主債務加重、主債務者の抗弁権の援用について、明文化されました。

以下に、今回の改正のポイントをまとめています。

①保証人の保護強化に大きな重点
(1) 契約後の情報提供義務(2種類) → 改正案458条の2、458条の3
(2) 根保証規制の拡張 → 改正案465条の2、465条の4第1項、465条の5第1項
(3) 事業のための第三者個人保証の大幅な規制 → 改正案465条の6、465条の9
(4) 契約締結時の情報提供義務 → 改正案465条の10
②規定の不合理な点を修正
(1) 連帯保証人に関する規定の整理 → 改正案458条、438条、439条1項、440条、441条
(2) 求償権に関する規定の整理 → 改正案459条の2、462条3項、460条
③確立した解釈や判例の明文化
(1) 附従性と主債務加重の場合 → 改正案448条2項
(2) 主債務者の抗弁権の援用 → 改正案457条2項、3項

 

終わりに

以上が、保証の改正に関するポイントとごく簡単な説明です。
次回、第2回で、上記のポイントまとめの内、①保証人保護強化(1)契約後の情報提供義務、②規定の不合理な点の修正(1)連帯保証人に関する規定の整理、③確立した解釈や判例の明文化について、詳しい改正内容を説明・解説していきます。

 

 

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