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簡単・分かりやすい民法改正解説~シリーズ27 定型約款(ていけいやっかん)・中編:契約への組み入れ要件・開示~

今回は,簡単・分かりやすい民法改正解説シリーズの第27弾です。

 

前回,「定型約款(ていけいやっかん)」について、民法で新たにルールが新設されることとなったこと、そのポイントとして、

  1. ①定型約款に記載されている個別の条項が、当該顧客との間で契約の内容として組み入れられるための要件
  2. ②不当条項の規制
  3. ③定型約款を変更するための要件

について、新たにルールが設けられることになったと説明しました。

前回のコラムはこちら:簡単・分かりやすい民法改正解説~シリーズ26 定型約款(ていけいやっかん)・前編:改正の経緯・定型約款とは~

 

定型約款・中編の今回は、①定型約款の個別の条項が、当該顧客との間で契約の内容として組み入れられるための要件について、詳しく説明・解説していきます。

 

契約への組入れとその要件(改正案548条の2第1項)

定型約款は、個別の条項について合意がなくても次の3種類の場合には合意があったとみなされ、契約の内容となります。
定型約款の個別の条項が、契約の内容として取り込まれることを、「組入れ」といいます。

パターン①:定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき(同項1号)

例えば、、契約書に約款による旨の記載がある場合や、オンラインでサービスを申し込む際に利用規約へ同意するボタンをクリックする場合にはこれに当たるといえます。オンラインショッピングでは、しばしば注文行為が利用規約への同意とみなされるという仕組みを設けていることがあり、この場合はやはりパターン①の一種となると思われます。

パターン②:定型約款を準備した方の当事者(定型約款準備者)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき(同項2号)

契約書に記載はないが、申込書類と一緒に定型約款のパンフレットを交付していた場合や、オンラインショッピングで利用規約の表示はしていたが、同意させたり同意とみなす措置を取っていない場合が考えられます。
もっとも、パターン①の合意は黙示の合意でもよいため、パターン②との区別は微妙な場合もありえます。

パターン③:定型約款準備者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を公表していたとき

例えば、電車、バス、飛行機の利用や高速道路の通行等については、事前の表示すら煩雑で、双方にとって不便と考えられます。そこで、これらの特殊な取引に限り要件をさらに緩和するため、各種特別法においてパターン②の「表示していた」を「表示し、又は公表していた」と読み替える規定を置く改正を行うことが予定されています。

 

定型約款の開示義務(改正案548条の3)

上記の組入れ要件の中で要求されている「定型約款を契約の内容とする旨」の合意、表示ないし公表とは、「定型約款がありますから、それに従いますよ」ということで足り、定型約款そのものの内容を見せることは、組入れ要件としては要求されていません。
契約前にはほとんど約款が読まれていないという実態に合わせたものであり、ほとんど読まれない約款を常に見せてから契約しなければならないとするのは、煩雑にすぎて約款を使うメリットを失わせてしまいかねないからです。

しかし、契約の相手方としては、もし読みたいと思ったら読める状態でなければ、契約内容を知る機会すらないことになり、契約の拘束力の根拠は当事者の意思であるという上述の大原則と離れすぎてしまいます。
そこで、相手方は契約の前と契約後相当の期間が経過するまでの間は、定型約款の内容を示すよう請求することができるとされました(改正案548条の3第1項)。

契約後とは、継続的な契約であればその契約が終了した後のことを指すので(部会資料75B)、契約継続中はいつでも請求できることになります。もっとも、すでに相手方に書面の交付等手元に残る形で開示していた場合には、重ねて開示請求に応じる義務はありません(同項ただし書)。

約款の開示請求があった場合には、定型約款準備者は遅滞なくそれに応えて相当な方法で定型約款を示さなければなりません。
この開示義務に違反すれば債務不履行となり、損害賠償等の責任を負うことになります。さらに、契約前の開示請求を正当な事由なく拒んだ場合には、定型約款の組入れが否定されるというペナルティがあります(同条2項)。
相手方に不利な内容の定型約款をわざと開示せずに契約させるといった事例に対処するためです。
「正当な事由」の例として「一時的な通信障害」が条文で示されていますが、このような不可抗力ともいうべき事態に限られるのであれば、事実上、契約前の開示請求を拒絶した場合には多くの場合に組入れが否定されることになるととらえた方が良さそうです。

 

終わりに

以上が、定型約款の個別条項を契約内容と組み入れるための要件と、定型約款準備者の定型約款開示義務に関する新たな規定です。
次回、定型約款の最終回・後編で、定型約款における不当条項の規制、定型約款を変更するための要件について、詳しく説明・解説していきます。

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