相続放棄を行った場合、たとえ熟慮期間中であっても、原則として、相続放棄の取り消しや撤回はできません。
詐欺や脅迫によって相続放棄を行った場合など、相続放棄手続きに問題があった場合、例外的に、取り消し(撤回)が認められます。
(詳しい解説)
被相続人(亡くなられた方)の相続開始を知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申述を行えば、相続放棄できます。
ですが、たとえ、この3か月以内であっても、一度相続放棄してしまうと、原則として取り消しや撤回はできません。
例外的に、相続放棄の取り消しや撤回ができる場合として、次のような場合があります。
・詐欺や脅迫によって相続放棄を行った場合
・未成年者が、法定代理人の同意を得ないまま、相続放棄を行った場合
・成年被後見人が、自ら相続放棄を行った場合
・成年後見監督人がいるのに、成年後見人又は成年被後見人が、成年後見監督人の同意を得ないまま、相続放棄を行った場合
・被保佐人が、保佐人の同意を得ないで相続放棄を行った場合
例外的に、相続放棄の取り消しや撤回ができる場合でも、追認できるときから6か月以内又は、相続放棄の時から10年経過すると、取り消しはできなくなります。
【参考条文】
民法第919条
- 相続の承認及び放棄は、第915条第1項の期間内でも、撤回することができない。
- 前項の規定は、第1編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。
- 前項の取消権は、追認をすることができる時から6箇月間行使しないときは、時効によって消滅する。相続の承認又は放棄の時から10年を経過したときも、同様とする。
- 第2項の規定により限定承認又は相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。