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名古屋の弁護士コラム

自己破産の生命保険への影響

 生命保険、火災保険、地震保険や家財保険、自動車保険など、保険の種類・対象は多種多様です。
 ここでは、保険期間が長く、保険料の払い込みが長期に及ぶ生命保険を中心に、自己破産の保険への影響を考えてみましょう。

 

保険は、資産とみなされます

 保険は、生命保険に限らず、自己破産手続きにおいては、解約返戻金相当の資産・財産とみなされます。
 ですから、原則として、自己破産の際に処分すべき財産にあたります。具体的には、保険を解約の上、受け取った解約返戻金を破産債権者に配当することになります。ただし、自由財産と認められる場合は、処分する必要はありません。

 

掛け捨て保険は、資産とみられません。

 保険は、解約返戻金相当分が資産・財産とみなされるわけですから、保険を解約しても保険料の返金や解約返戻金がないタイプ、つまり、保険料掛け捨てタイプの保険であれば、資産・財産とはみられません。この場合、保険の解約等処分する必要はありません。

 

管財手続では、自由財産の拡張を申立てる必要があります。

 名古屋地方裁判所の運用(以下、すべて名古屋地裁の運用を前提にお話しします)では、同時廃止手続きの場合(同手続きの保険に関する要件として、保険の解約返戻金の合計が30万円を超えていないという要件があります)、保険は自由財産と認められます。

 管財手続の場合、保険をそのまま保有するならば、自由財産の拡張を申立てる必要があります。以下は、管財事件における保険の取り扱いを説明します。

 

解約返戻金が20万円未満であれば、自由財産として認められ、処分の必要はありません。

 保険の解約返戻金が20万円未満の保険については、自由財産の拡張が認められます。つまり、保険を解約して処分しなくてもよいということです。ただし、後に述べる99万円上限基準に注意する必要があります。
 例えば、自動車保険など、保険期間が1年など短期間に限られている保険で、保険料を先払いしている場合、途中で解約すると、解約日以降、保険期間満了までの保険料が返金されることがあります。この返金額が20万円を超えない限り、保険を解約等処分する必要はありません。
 他方で、例えば、不動産を所有されている方で、多年分の火災保険を先払いしている場合では、解約するタイミングによっては、返金される保険料が20万円を超えることもあるでしょう。この場合、保険を解約等処分する必要があります。※自己破産では、不動産を所有している場合、基本的に不動産は処分することになります。 
 解約返戻金が20万円を超える保険の典型例は、生命保険です。最初にも述べましたが、生命保険は、保険期間が長く、保険料の払い込みが長期にわたり、結果、払込み済み保険料が高額になっている場合があります。このような場合、解約返戻金も高額になっているケースがあるのです。

 

解約返戻金が20万円を超える保険は、どうなる?

 解約返戻金が20万円を超える保険であっても、保険の解約返戻金を含めた自由財産の合計額が99万円以下の場合、自由財産の拡張を認めることが相当でない事情がない限り(裁判所の判断)、自由財産の拡張が認められ、解約せずそのまま加入を継続できます。裁判所が、当該保険について自由財産の拡張することは不相当と判断した場合、保険を解約することになります。解約返戻金は、債権者に配当されることになるでしょう。

 

99万円上限基準

 自己破産する際、合計99万円を超える額の自由財産は認められません。99万円を超えないように配慮して、財産を選択する必要があります。
 例えば、現金99万円、解約返戻金10万円の保険がある場合、保険を解約して現金99万円保持するか、現金10万円を処分して、現金89万円と解約返戻金10万円の保険を維持するかを選択する必要があります。
 つまり、解約返戻金20万円未満の保険であっても、その他の自由財産と合わせて99万円を超えている場合、財産の選択によっては、解約しなければならない場合があということです。

 

 保険に加入している場合で、自己破産を検討されている方は、解約返戻金額を調べましょう。

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