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簡単・分かりやすい民法改正解説~シリーズ5 債務不履行による解除~

今回は,簡単・分かりやすい民法改正解説シリーズの第5弾です。

 

民法が,私たちにとても身近なルールを決めている法律であることは,シリーズ“ゼロ”でお話ししたとおりです。 (⇒簡単・分かりやすい民法改正解説~シリーズ”ゼロ” 民法改正の意味~) このルールの内,契約を中心とした債権について,大幅な変更が行われます。

 

今回のテーマは,重要な変更点である「債務不履行による解除」について、簡単・分かりやすく解説・説明していきます。

 

 債務不履行解除の重要な改正ポイント

契約の解除に関しては、従来必要と解されてきた債務者の帰責事由を不要とし、解除を債務不履行による損害賠償とは別個の仕組みとして位置付ける根本的な改正がありました。

 

債務不履行とは

債務不履行とは、債務者が債務を果たさないことをいいます。

債務不履行の類型として、①履行不能、②不完全履行、③履行遅滞の3類型が民法に規定されています。

債務不履行の効果として、①損害賠償請求と②契約上の債務について不履行があった場合に契約の解除ができます。

→詳しくは、簡単・分かりやすい民法改正解説~シリーズ4 債務不履行の損害賠償請求~

 

債務不履行による契約の解除

例として、製造業者が材料を仕入れる売買契約を考えてみます。

売主が発注ミスにより、納品期日に品物を納めない場合、目的物引渡義務という債務の不履行になります。

買主がこれによって他の業者から代わりの材料を仕入れなければならず余計な費用がかかったとすれば、その費用を、債務者に損害賠償請求できます。

このとき、別の業者を探して材料を仕入れた買主は、後から元の売主に材料を納品されても困りますし、代金を請求されても困ります。

また、もし既に代金を支払っているのであれば、返してもらう必要があります。

これらを可能にするのが契約の解除です。

 

 債務不履行解除に債務者の帰責事由は不要

このように、債務不履行の場面で契約の解除を認める目的は、債権者を契約による拘束から解放し、原状を回復することにあります。

同じ債務不履行が前提となるにしても、損害賠償とは別個に問題になるものです。

そこで、債務不履行解除の要件も、損害賠償とは違う観点から考えてよいはずです。

この解除の要件に関し、従来の通説は、債務不履行解除の場合に、「債務者の責めに帰すべき事由」が必要と解してきました。

このような解釈に対し、条文では、履行不能を原因とする解除の場合に、債務者の帰責事由を必要とする規定(民法543条後段)する一方で、履行遅滞や不完全履行については帰責事由を必要とする規定がありませんでした(同541条)。

 

しかし、「債務者の責めに帰すべき事由」はいわば債務者へのペナルティとしての機能を持つ損害賠償では意味のある要件ですが、債権者を契約から解放すべきかどうかという解除の局面では意味がないと考えられます。

 

そこで、この問題について、改正案は従来の規定と通説の考え方を否定して、解除の要件として「債務者の責めに帰すべき事由」は不要であるという新しい立場を採用しました(民法543条の削除)。

その理由は、解除の目的を上述の「契約からの解放と原状回復」に絞って捉え、損害賠償とは別個の制度として構成し直したためです。

その結果、改正民法のもとでは債権者からの解除の主張に対して、債務者が帰責事由の不存在を主張しても通らない(裁判では、抗弁が主張自体失当になる)ことになります。

 

なお、解除の要件から債務者の帰責事由を外した結果、履行不能による解除と危険負担の場面が重なり合うことになりました。これについては稿を改めて解説したいと思います。

 

その他の改正

以上が帰責事由の要否に関する重要な変更ですが、解除に関しては、以下の点でも重要なルールの整理・明文化が行われました。

 

●軽微な債務不履行の場合には解除できない(新541条但書)  

一つの契約から発生する債務は、中心的な債務から付随的な債務までいろいろある場合があります。

判例では、付随的な債務のみの不履行の場合に解除権を否定するものがありました。

 

改正案ではこの考え方を一般化し、不履行が「その契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるとき」には解除できないという形で、ルールとして明文化しました。

 

●一定の場合には無催告で解除できる(新542条1項)  

解除の方法として、相当の期間を定めた催告をしてから解除する催告解除と、催告なしでいきなり解除する無催告解除とがあります。

従来の条文では履行不能(旧543条)と定期行為(一定のタイミングで履行されなければ契約の目的を達成できない債務。旧542条)の場合に無催告解除が認められていたほか、当事者同士で無催告解除の特約を交わすことも有効でした。

また、判例には不履行の態様が著しい場合に特約がなくても無催告解除を認めるものがありました。

 

改正案はこのルールを整理・拡張し、以下の5つの場合に無催告解除ができると定めました。

・履行不能

・債務者の明確な履行拒絶

・一部の履行不能または履行拒絶があり、残りの部分では契約目的が達成できない場合

・定期行為

・その他、催告をしても契約目的が達成できる見込みがないことが明らかな場合

 

終わりに

以上、今回は債務不履行による契約の解除について、改正をチェックしてみました。

債務不履行による損害賠償請求が、債務者の帰責事由を明文化したのに対し、全く反対の改正を行ったことになりますし、従前の解釈とは異なる規定になりましたので、大変重要な改正といえる思います。

 

 

 

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