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簡単・分かりやすい民法改正解説~シリーズ4 債務不履行の損害賠償請求~

今回は,簡単・分かりやすい民法改正解説シリーズの第4弾です。

 

民法が,私たちにとても身近なルールを決めている法律であることは,シリーズ“ゼロ”でお話ししたとおりです。 (⇒簡単・分かりやすい民法改正解説~シリーズ”ゼロ” 民法改正の意味~) このルールの内,契約を中心とした債権について,大幅な変更が行われます。

 

今回は,重要な変更点である「債務不履行の損害賠償請求」を,簡単・分かりやすく解説・説明していきます。

なお,債務不履行では、損害賠償請求のほかに、解除も問題となります。「解除」については,シリーズ第5弾で,詳しく解説します。

 

「債務不履行の損害賠償請求」改正の狙い

今回の民法改正の狙い・方向性は、大きく2つ、一般の人にもわかりやすい民法にすることと、内容の現代化(現代の社会・経済情勢に合った内容にすること)であることは、シリーズ”ゼロ”でお話ししたとおりです。

債務不履行に関する改正では、前者のわかりやすい民法とする目的で、改正がされています。

つまり、債務不履行による損害賠償に関しては、条文と解釈の間に見られた不一致を明文化する改正が行われました。

 

債務不履行とは

債務不履行とは、債務者が、債務を果たさないことを債務不履行といいます。

債務とは、たとえば、各種契約から発生する目的物引渡義務、サービス提供義務、代金支払義務、目的物返還義務、不法行為から発生する損害賠償義務など、ある人が別の誰かに対して特定の行為をする義務のことをいいます。

債務不履行について、民法は、①履行不能(債務の履行が不可能になった場合)、②不完全履行(債務が履行されたけれど不完全だった場合)、③履行遅滞(債務の履行が可能だけれども遅れている場合)という3つのパターンを規定しています。

 

[具体例]

例えば、Aさんが、CDや本、DVDのレンタルショップで、DVD1枚とCD3枚を、7泊8日(返却期間1週間)で、レンタル(賃貸借契約)したとします。

Aさんは、レンタルした商品を、7泊8日以内に、返却する債務を負ったことになります。

 

ところが、Aさんがレンタルした商品の入ったカバンを電車の中に置き忘れ、そのまま商品を無くしてしまった場合、商品の返却ができません。このような場合、Aさんの商品の返却債務は①履行不能といえます。

Aさんが、うっかり借りたDVD1枚を返却BOXに入れ忘れ、CD3枚だけ返却した場合、②不完全履行です。

Aさんが返却期限を過ぎて返却した場合は、③履行遅滞です。

 

債務不履行の効果

債務不履行があると、債権者は損害賠償請求ができます(415条)。

また、契約によって生じた債務については、その債務と対価関係に自分の債務(反対債務といいます)がある場合、契約を解除して反対債務を免れることもできます(541条)。

 

債務不履行の効果を規定した民法の条文は、415条と541条と、随分離れたところに規定されています。

これは、民法の規定の並び方として、債務不履行は契約のほかに不法行為などその他の債務発生原因でも問題となるので債権総則の位置に置かれているのに対し、解除は契約のみに関係するので契約総則の位置に置かれているためです。

このように離れていますが、こと契約に関しては、債務不履行と解除はしばしばセットで問題になるものです。

 

債務不履行による損害賠償の要件に、債務者の帰責事由を明文化

債権者は、債務者に対して、債務不履行によって被った損害の賠償を請求することができます。

 

例として、製造業者が材料を仕入れる売買契約を考えてみます。

売主が納品期日に品物を納めない場合、目的物引渡義務という債務の不履行になります。

買主がこれによって他の業者から代わりの材料を仕入れなければならず余計な費用がかかったとすれば、それが損害です。

 

この損害について賠償請求が認められるための要件として、現行の民法では、履行不能の場合には、「債務不履行の事実」と「損害の発生」に加え、「債務者の責めに帰すべき事由(帰責事由)」が必要であると規定されています(415条後段)。

上記の例で、納品できなかったことが売主のミスに起因する場合、問題なく賠償請求できますが、大地震の影響で納品が無理だったような場合には、帰責事由がなく賠償請求は認められないことになります。

 

他方、履行遅滞の場合や、不完全履行の場合にはそのような規定がないため、法律の規定だけみると、履行遅滞と不完全履行の場合には、債務者の帰責事由は不要であるかのようでした。

しかし、実際は、従来の通説は履行遅滞や不完全履行の場合でも、「債務不履行の事実」と「損害の発生」に加え、「債務者の責めに帰すべき事由(帰責事由)」があることも必要と解されてきました。

このような解釈は条文から読み取ることが難しく、「わかりやすい民法」にするためには明文化が望ましいとされていました。

 

そこで、改正案は、履行不能・履行遅滞・不完全履行を含めた債務不履行全般の消極要件として、「ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」という規定を新設し(新415条1項但書)、債務者の帰責事由が要件となることを明文化しました。

 

帰責事由とは

改正案では、帰責事由の判断要素についても明記されました。

従来の通説が帰責事由を「債務者の故意・過失または信義則上これと同視すべき事由」であると解してきたのに対し、改正案では「契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由」という表現を採用しました。

これは、過失責任主義に立っていた従来の通説の考え方を一部否定する側面があるのですが、実際の裁判結果にはさほど影響はないだろうと言われています。

 

終わりに

以上、今回は債務不履行による損害賠償請求に関する改正をチェックしてみました。

債務不履行に関する改正は、民法の長い歴史の中で解釈が発展し、条文とうまく一致しなくなってしまった部分をわかりやすくする作業の代表的なものです。

これまでの実務を大きく変更させる改正ではありませんから、比較的分かりやすい内容だったのではないでしょうか。

 

 

 

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